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プロフェッショナルな人のテツガク - さまざまな業界で活躍されている人から学ぶライフスタイル

2014.02.03

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#06 土地の味を映しとる美味しいワインのために

ワイン用ブドウの北限にあたる岩見沢・三笠周辺。「栽培にはギリギリの厳しい環境だからこそ、面白いワインができる」。そう考え、栗沢町でブドウ農園を営む中澤一行さん・由紀子さん夫妻。ふたりが育てた4種のブドウは野生酵母による発酵で、華やかな香りのキリッとした「クリサワブラン」に。毎年の出来を待ちわびるファンも少なくありません。

ナカザワ ヴィンヤード/栽培責任者 中澤一行さん

東京都出身。学生時代、「将来的には北海道に住みたい」と夢を抱く。その後、夢は「北海道に住むなら農業に従事したい」に発展。エンジニアとして東京でサラリーマンをしていたときに夢をかなえるチャンスを得て、北海道の企業に転職、移住。会社員としてブドウ栽培の仕事に携わる一方で、2002年に妻の由紀子さんが新規就農、栗沢町に土地を求め、自身も2004年に退社してナカザワ ヴィンヤードが本格稼働。夏は多忙ながら、1日だけは晴天の日でも「雨が降っている」ことにして、夫婦で札幌・大通公園の昼ビアガーデンを楽しむ。

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白ワインの土地柄


土地面積は4.6haですが、畑にできるのは南向きの斜面の2.7ha、北海道にしては小さな農園です。最初から植わっているのは、この土地に合うと思った白ワイン用の4品種で、ゲヴュルツトラミナー、ピノグリ、ケルナー、シルバーナ。あとから赤用のピノ・ノワールも植えましたが、これはご愛嬌みたいなもので。基本的に、北海道のこのあたりは白のほうが美味しいものができると思っています。

ゲヴュルツトラミナーの一番の特徴は香りです。白い花やライチの香りに例えられるように、華やかな印象のワインをつくることができます。特徴が際だつブドウなので個性的なワインをつくるのにいいと思い、選びました。2つめのピノグリはどちらかという糖度が上がって、ボリューム感のあるワインができます。皮が赤く、ちょっと渋みを感じる品種でもありますね。3つめのケルナーは先にあげた2つの中間くらいで、柑橘系のさわやかな香りがして糖度も上がるので、しっかりした飲みごたえのあるワインになります。4つめのシルバーナはこの辺でつくれるかどうかギリギリの品種で、ちょっと青っぽい草のような感じの酸味のきいたワインができます。

「クリサワブラン」はこの4種でできています。最初の仕込みのときにそれぞれのブドウの量が足りず、ブレンドにしてみたら美味しくて。「品種ごとのワインよりも美味しいんじゃないか、それなら」と、ブドウの量が取れるようになってもブレンドで行くことにしたんです。

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人の介在を最小限に、素直に育てる


栽培方針は、できるだけ余計なことはしない、人の介在は最小限にしようということ。当初から除草剤や化学肥料はいっさい使っていませんし、草刈りは自分たちの手で適度に、できれば最小限で。刈らないでおくと、畑にはいろんな草が生え、いろんな生き物がいるようになります。たぶん微生物もたくさんの種類が畑にいるんじゃないでしょうか。ブドウだけが整然と植わっている畑ではブドウを好む虫や微生物が増えてしまいますが、いろんな生き物がいる環境の中にブドウがあることで、あまり農薬に頼らなくてもブドウが育つんじゃないか。生き物の連鎖というか、自然な流れでブドウが守られるんじゃないか、と思っているんです。

さまざまな草と競合することになるので、ブドウにとっては苛酷な環境なんですけれども、そのほうが、たぶん、たくましく健全に育つんじゃないかな、とも思っています。最初から化学肥料は使っていないとお話ししましたが、実は、堆肥を含めて肥料はやっていません。この土地のものだけで基本的にはブドウが育っていて、そうすることで、この土地ならではの味わいが出るだろうと、そう考えながらやっています。

何をして「北海道らしいワイン」とするかは難しいところですが、そう言ってもらえるようなワインをつくりたいという思いはあります。ただ、それを意識的に行うことはありません。畑と同じようにワインづくりでも、人の介在を最小限にして素直にワインにしていけば、自ずと土地の味になっていく、と思っていて。つくり手が意図するのではなく、流れで「北海道らしいワインだね」と言ってもらえるようになればと思っています。

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醸造も北海道でできるようになって


ワインの醸造は2012年まで、栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーにお願いしていました。2013年からはココの役員でもあるブルース・ガットラヴさんが、たまたまですが、すぐ近くに引っ越してきたので、彼が経営する「10R(トアール)ワイナリー」で、ブルースさんのアドバイスも受けながら、自分たちで発酵を管理して醸造しています。

2013年は白ワインとしては、たぶん、すごくいいブドウが穫れたと思います。ただ、いままではブドウさえしっかりつくってココ・ファームに渡せば、美味しいワインになって帰ってくるだけだったけれども、これからはワインづくりもある程度自分たちでやらなきゃならないので、ちょっとプレッシャーを感じています(笑)。つくる人が変わるので、味も何らかのカタチでは変わる。それがどう出るかは、自分たちもまだわからないんです。

ブドウづくりの面白味は、普通の農作物であれば市場に出荷して終わりだけれど、最後にできてくるものがボトルに詰まったワインだという点だと思います。飲んでくれるお客さんと話すなど、つくったものに対する手応えを感じる機会が、たぶん、ほかの作物に比べて圧倒的に多いでしょうしね。10Rで醸造できるようになったことで、これからは北海道での流通量も増やせるし、品種ごとのワインもできてきます。年によって豊作な品種があればその品種のワインをというように、ブドウに余裕があるときには、いたずら程度ですがつくっていこうと思っています。

この10年で、近隣にはワインづくりの仲間がずいぶんと増えました。美味しいワインもどんどんできていて、ほかの人のワインを飲むのはすごく参考になるし、楽しい。いままでとは違う楽しみも生まれています。雪がとけたら休みはありませんので、ブドウがよく穫れて気持ちに余裕がある今年は、冬休みの間に温泉くらい行きたいなと思っています(笑)。

編集:Mammy Pro 文:佐藤まゆり 撮影:小森学(Volanti)

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NAKAZAWA VINYARD

めざすは、ブドウを最大限に生かした美味しいワイン。野生酵母を使い、仕込み段階で4種のブドウを混ぜる"混醸"によってつくられる「クリサワブラン」をメインに、豊作の年にはピノ・ノワールの赤ワインや品種ごとのワインも。

岩見沢市栗沢町加茂川140
http://www.nvineyard.jp/
TEL 0126-45-2102(18:00~21:00)

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