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プロフェッショナルな人のテツガク - さまざまな業界で活躍されている人から学ぶライフスタイル

2013.12.24

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#05 写真と映像、デジタルとフィルム。ジャンルを超える面白さ

10代半ばに作曲のためシンセサイザーを買ったのが、クリエイティブな世界に入る「すべての発端」と話す北川陽稔さん。高校時代には創った曲を海外のレーベルに送ったとも。時間ができたらカフェに出かけ本を読むタイプといい、心惹くセンテンスを見つけては付箋を貼って何度も見返し、思考に定着させるのが、自分なりの勉強法だそうです。

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ビジュアルアーティスト(写真家/映像作家)/北川陽稔(きたがわあきよし)さん

札幌出身。19歳で東京に行き、20~21歳のときにはVJ(ビジュアルジョッキー)として、ファッションブランドのパリコレ映像の制作や有名ロックバンドのツアーVJなどに携わる。21歳からはミュージックビデオを手がけ、ディレクターとして大きな仕事も経験。23歳で映画の世界へ。東京のニュータウンを社会学的な視点で切り取り、アーティスティックな映像に仕上げた8ミリフィルムの短編「LOSTBALL」で、アメリカの映画祭に入選。20代後半から写真家の道をたどり、35歳となった現在は"ビジュアルアーティスト"として、ジャンルを超えたアートな表現を志向。札幌と東京の2拠点で活動中。

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没頭、そして一時停止、を繰り返す


10代のころは、興味をもつと片っ端からいろんなことに手を出していました。音楽から入って、ウェブデザインっぽいこともして、htmlから自分で手打ちしながらサイトをつくったり。そうすると海外からもリアクションがあって、面白いなぁと思っていましたね。

東京に行ってからは、まず20歳ころにVJでキャリアを積んで。デジカメやアナログカメラで撮った画像・映像を加工して、抽象的なものを創るのが楽しかったですね。一晩中パソコンにかじりついて病的なくらいにやってました。ただ、僕、最初のキャリアは早かったけれど、一つのジャンルにずっといないというか、しばらくやって自分の中での刺激が薄れると距離を置くクセが、若いときにあって。移り気な人間というか、なんでもやってみたいけれど、冷めちゃうとダメなんです。

VJをやっているうちにだんだんCG的なことが苦痛になって、それなら一番好きな"自分で撮る"ことをしようと、ミュージックビデオの世界に入りました。そこで異例でしたけれど、21歳そこそこでディレクターをさせてもらって、比較的大きな仕事も2〜3本やった。ただ、当時から漠然と"作家"を志向していたので、2〜3年経ったところで「自分の表現の軸をきちんとつくり直さないとマズイ」と、急に思ったんです。で、それからの1年くらいは半分ひきこもって、ずっとショートフィルムを制作して、海外の映画祭で入選もしました。

映画の次は写真なんですけれども、僕の中では、VJもミュージックビデオも映画も、やめたわけではなく"一時停止"なんです。世の中的には「もうやらないんだ」と思われていて、完全に1回消えているけれど、自分の中では、一つのジャンルについて技術的にも創作的にも自分なりに至らなきゃならないラインがあって、そこまで深める。すると、その間はほかのジャンルは一時停止になる。決めると徹底して没頭し、区切りがつくと一時停止して、また、ほかのジャンルに没頭する。その繰り返しで進んできた15年だったと思います。

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作家とエンターテインメントの狭間で


例えば、派手なロゴを動かしたり花火を散らしたり、良くも悪くもギラギラした表現ばかりをやっていると、自分の場合だんだん疲れてくるんです。それがVJが続かなかった理由でもあるんだけれど、といって、超ストイックなアートで食べていけるとも思わなかった。じゃ、どうしよう、と。自分が本筋としてきた"作家"の作業と"エンターテインメント"の作業の狭間で、いつも揺れていたように感じます。

写真家の部分では、29歳で札幌に戻ってきて、2年ほど環境がらみの制作をした後に、半年かけて「annoski(アンノシキ)」という作品を制作、このあたりから本当にやりたいことができるようになり、今の僕がつくられています。「annoski」はアイヌ語で「夜」「闇」という意味合いですけれど、アイヌの地名が残る場所に4✕5の大きなカメラをもって出かけ、薄暮から暗闇になるまでの間、長時間露光で撮影しました。この作品で、アート系の写真家の登竜門になっているキャノンの「写真新世紀」に入賞して、写真家になろうと思ってから6年くらいかかってやっと、作家として最小限のキャリアが形になったと思います。

2作目の「kannagi(カンナギ)」も、もう一つの写真家の登竜門「1_WALL(ワンウォール)」で入選しました。一方でこの1年は、仲間とのネットワークを築いて仕事を運営する会社を立ち上げ、ミュージックビデオを徹底して手がけたり、それとは別に札幌市のアート関連イベントの映像コンテンツの制作なども行いました。"作家"と"エンターテインメント"をどう近づけるかは、今でも課題だけれど、この1年のいろいろな動きでだいぶ近くなった気はしています。

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道具もジャンルも一つのフォーマット


15年経って、やっと最近わかったことがあります。VJ時代からメディアアート的な視点でモノを見て、ジャンルにとらわれずにモノを創っていたことが、出発点としてとても大事だったということです。納得いくまで一個一個のジャンルをつきつめて、しかるべき知識と技術と、キャリアを身につけてからじゃないと、統合的な表現者にはなれない、という思いが無意識のうちにあったんだと思います。

僕にとっては写真も映像も、ミュージックビデオも、それぞれが一つのフォーマットであって、それを組み合わせることで自分が表現したい世界を描きだしたい。4✕5のカメラや60年前のカメラを使うことも、デジタルかフィルムか、写真か映像かも作品のコンセプトに合わせて決めることで、その結果が全てなんです。だから、何屋さん?と聞かれると、「ビジュアルアーティスト」としか答えようがない。たぶん、これからどんどん、いい意味で表現が拡散されていくと思います。写真だけでなにかをするのではなく、映像を組み合わせたりということに、今後はなっていくだろうと思いますね。ホントに15年かけて、かなり回り道もしたけれど、やっと、やりたいことがやれるようになってきた、そういう気がします。

編集:Mammy Pro 文:佐藤まゆり 撮影:小森学(Volanti)

Akiyoshi Kitagawa

◎Akiyoshi Kitagawa Archives(個人サイト/写真作品「annoski」もworksに収録)
 http://www.akiyoshikitagawa.com/

◎Studio V.A.(代表を務める法人のサイト)
 http://www.studiova.co.jp/

◎annoski
 取り扱いギャラリー Poetic Scape(「annoski」シリーズのプリントが購入可能)
 http://www.poetic-scape.com/

◎映像作品 サトウヨシアキ「もう一度笑って」
 http://www.youtube.com/watch?v=YbsAIfq0PRg

◎Akiyoshi Kitagawa "in progress"(進行中のプロジェクトやコマーシャル作品を紹介)
 http://akiyoshi-kitagawa.tumblr.com/

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